仙台高等裁判所 昭和24年(ネ)134号 判決
控訴人岩手県知事及び同中野地区農地委員会の本件控訴(原判決中買収計画及び買収処分の取消請求を認容した部分に対する控訴)を棄却する。
原判決中、控訴人岩手県農地委員会のした本件買収計画の承認を取消した部分を取消し、被控訴人の同控訴人に対する右承認の取消請求を棄却する。
被控訴人の附帯控訴を棄却する。
訴訟の総費用中、控訴人国の控訴によつて生じた部分は国の負担とし、被控訴人の附帯控訴によつて生じた部分は被控訴人の負担とし、その他はこれを五分しその一を被控訴人の負担、その余を控訴人岩手県知事及び同中野地区農地委員会の連帯負担とする。
二、事 実
控訴人等代理人は「原判決中控訴人等敗訴の部分を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」及び附帯控訴棄却の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却及び附帯控訴として、「控訴人岩手県知事及び控訴人中野地区農地委員会は別紙記目の土地につき自作農創設特別措置法第五条第四号またわ第五号による買収除外の指定を為すべし、右請求が理由ないときは、控訴人岩手県農地委員会が昭和二十二年七月二十八日附別紙記目の土地につき自作農創設特別措置法第五条第五号の買収除外を求めた被控訴人の訴願を棄却した裁決を取消す」との判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張は被控訴代理人において、
一、本件農地買収計画の公告の日は昭和二十二年三月十一日で、被控訴人はこれに対し同月十七日異議の申立をしたが、同年七月二日却下されたので同月十二日訴願したところ、同月二十八日訴願棄却の裁決があつたのである。
二、本件農地に対する自作農創設特別措置法第五条第五号の買収除外については、特別に指定の申請をしたものではない。従つて右買収除外についての異議訴願はなかつたのである。ただ前記買収計画に対する異議申立の際買収除外を求める旨を併せて申立て、訴願にもこれを附加したに過ぎないのである。
三、本件係争地はさきに志家耕地整理組合において、耕地整理を施行した地区内であるから、改めて土地区画整理をする必要のない土地である。
四、要するに被控訴人は本訴において本件係争地の買収計画、買収処分等の取消を求める理由として、係争地が中野地区農地委員会の区域に属しないことを主張する外、都市計画法第十二条第一項による盛岡市の都市計画地域内に該当し、且近く土地使用の目的を変更さるべき土地であることを主張するものである。
と述べ、控訴人等代理人において、
一、岩手県知事は盛岡市を町内会の区域を標準として四つの地区に分ち、各地区に地区農地委員会を設けた。これによれば被控訴人の住所である盛岡市紺屋町は、旧盛岡地区農地委員会の区域内であり、本件農地の所在地である盛岡市大字志家第五地割三十二番字神明前は、中野地区農地委員会の区域である志家町内会の範囲に属するものである。
二、本件農地の買収計画公告の日は昭和二十二年六月九日でこれに対し被控訴人から異議の申立があつたのは同月十八日、これに対し却下の決定があつたのは同月二十四日である。またこれに対し同年七月十二日訴願せられ同月二十八日その裁決があつて裁決書が被控訴人に交付されたのは同年九月十六日である。しかし控訴人岩手県農地委員会は被控訴人から自作農創設特別措置法第五条第一項第五号の除外指定についての訴願を受けたことも、裁決をした事実もない。
三、本件農地が志家耕地整理組合において被控訴人主張のように耕地整理を施行した土地であることは争わないが、都市計画法第十二条第一項の規定による土地区画整理を施行する土地でなく、また近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地でもない。右農地附近は本件農地を含めてすべて水田であつたものを昭和三年頃耕地整理を施行し、昭和六年頃事実上完成したのであつたが、宅地目的のものは当時及びその後畑に転換し、その一部は既に宅地とせられた。そこで控訴人中野地区農地委員会では昭和二十二年三月十日の第二回農地委員会において、当時畑に転換されていた部分については、自作農創設特別措置法第五条第一項第五号の指定をし、水田となつているものについては同上の指定をしないことに決定したものである。
と述べた外は原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。(立証省略)
三、理 由
先づ控訴人国の控訴の適否につき按ずるに原審における被控訴人の控訴人国に対する請求は要するに、控訴人岩手県知事に対する買収処分取消の請求が容れられない場合には予備的請求として国に対し、被控訴人の農地を買収したのは結局関係公務員の不法行為であるから、よつて生じた損害の賠償を求めるというにあるところ、原審においては、被控訴人の買収処分取消請求を認容し、控訴人国に対する右予備的請求については何等の裁判をしなかつたことが、原判決に徴し明かである。従つて原判決中には訴訟費用に関する部分を除き控訴人国が独立して控訴し変更を求める何ものをも包含していないのであるから、これに対する控訴は不服の対象を欠く不適法のものとして却下すべきである。
控訴人国以外の控訴につき審按するに、
別紙記目の土地が被控訴人の所有であつたこと、控訴人中野地区農地委員会が右土地につき不在地主の小作地として買収計画を樹立し公告したので、これに対し被控訴人が異議申立をしたが却下されたので、更に昭和二十二年七月十二日控訴人岩手県農地委員会に訴願したが、これまた同月二十八日棄却されその裁決書が同年九月十六日被控訴人に交付され、ついで同月十九日本件土地の買収令書が被控訴人の先代佐々木清一宛名で被控訴人に交付されたことは、当事者間に争がなく、成立に争いのない甲第十六号証の一乃至三の各記載によれば、右買収計画の公告の日は昭和二十二年三月十日またわ十一日であつて、控訴人が異議申立をしたのは同月十七日であることが認められるから、右異議申立は適法に為されたものというべきである。
よつて本件農地がいわゆる不在地主の小作地であるかどうかにつき按ずるに、当審証人村井勝太郎、荒川三五郎、田沢幸三、小田島金一、藤村清一、八木沢梅之亟の各証言並に右村井勝太郎の証言により成立が認められる乙第二号証及び成立に争のない乙第三号証の一、二の各記載を綜合するに、盛岡市においては、今次農地改革の事務簡捷を計るため、市の区域を四つの地区に別け各地区毎に農地委員会を設置することとし、その区域を農民組合、農事実行組合等の意見をも参酌して当時の町内会を標準として定めたこと、その結果本件農地の所在地は志家町内会に属し、控訴人中野地区農地委員会の区域内にあり、一方被控訴人の住所である盛岡市紺屋町は旧盛岡市地区農地委員会の区域に属することが認められ、右認定を妨げるに足る証拠はない。また本件農地が小作地であることは、被控訴人もあえて争わないところであるから、本件農地は不在地主の小作地であるといわなければならない。
しかるに被控訴人は本件農地は近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地であるから、これを買収するは違法である旨主張するので判断する。およそ裁判所は行政庁と異なり意思表示的効果を持つ処分をすることは法の明文の存しない限りこれをすることはできない。ただ行政庁の行政処分が法令に適合するかどうかを判断して、それが違法であると認めるときは、これを取消し、またわ変更することができるに過ぎない。従つて裁判所は近く土地使用の目的を変更するこどを相当と認めても、農地委員会のなすべき承認またわ指定を為すことはできないし、また農地委員会が承認またわ指定しないことは行政処分といえないから、それだけでは判断の対象とはなり得ない。しかし農地委員会が承認またわ指定しないことが社会的、経済的、歴史的諸条件から客観的に考えて違法であるのに更に進んで承認またわ指定しない農地を買収した場合には、承認またわ指定しないという違法性が買収の違法として争い得るものと解するを相当とする。
ところで本件農地につき自作農創設特別措置法第五条第五号による指定のないことは、当事者間争のないところであるが、本件農地はさきに志家耕地整理組合において耕地整理を施行した地区内であること当事者間に争ない事実と成立に争ない甲第十七号証の記載及び当審における検証の結果により認め得られる次の事実即ち本件係争地は盛岡市から住居地域として指定せられていること、本件係争地近接地帯には東北方に一区画の水田がある外は殆んど住宅地として幅員約二間半通路で区画せられ、車馬の通行も便利で人家が立列んでおり、西方通路の西側は住宅地帯で人家が立列んで居り、この通路を南方約二町進めば八幡町、生姜町等の商店街である事実に徴し、本件農地は近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地であるのに、控訴人中野地区農地委員会が岩手県農地委員会の承認を得て指定しないで買収計画を樹立した違法があり、控訴人岩手県知事が該買収計画に基いてした買収処分も亦違法たるを免れない。
なお被控訴人は控訴人岩手県農地委員会のした本件買収計画の承認の取消を求めるけれども、元来右承認なるものは行政庁相互間の内部関係に属する事柄であつて、それにより直接第三者に具体的効果を及ぼすものではないから、これが取消を求める部分は理由がない。
次に被控訴代理人の附帯控訴につき按ずるに、被控訴人は控訴人岩手県知事同中野地区農地委員会に対し、自作農創設特別措置法第五条第四号またわ第五号による買収除外の指定を為すべき旨の裁判を求めるのであるが、本件農地が都市計画法第十二条第一項の規定による土地区画整理を施行する土地であることは、被控訴人の全立証によるも認め得ないところであるのみならず、前記説明のとおり裁判所は行政処分が違法であるかどうかの判断を為し得るに止り、自ら行政庁に代つて処分したのと同様な効果を生ずるような判決をしたり、行政庁に処分を命じたりすることは、司法権の範囲を逸脱するものであつて、本来許さるべきものではないと解すべきであるから、被控訴人の右請求は不適法なものとして却下すべきである。
更に被控訴人は控訴人岩手県農地委員会が昭和二十二年七月二十八日附本件土地につき自作農創設特別措置法第五条第五号の買収除外を求めた被控訴人の訴願を棄却せる裁決の取消を求めるけれども、被控訴人が特別に右法条による買収除外の申請をしたものでなく、従つてこれに関する異議訴願を申立てたわけでもなく、ただ前記買収計画に対する異議却下の決定に対する訴願の際自作農創設特別措置法第五条第五号によつて買収除外の指定をすべきである旨を買収計画に対する一不服の理由として附加したに過ぎないことは、被控訴代理人の自陳するところである。即ち昭和二十二年七月二十八日附で控訴人岩手県農地委員会でした訴願棄却の裁決は買収計画に関するものであつて買収除外指定に関するものではなく、その他に特にこの点に関する訴願棄却の裁決の有しないことは、被控訴人の主張自体により明白であるから、右裁決の取消を求める請求は取消の対象を欠く不適法なものとして却下すべきである。
以上説明の次第で被控訴人の本訴請求中控訴人岩手県知事に買収処分の取消並に控訴人中野地区農地委員会に買収計画の取消を求める部分は正当であるが、その余の請求は失当である。原判決中右買収計画及び買収処分の取消請求を認容した部分及び買収除外を求める訴等を却下した部分は相当で、控訴人岩手県知事及び同中野地区農地委員会の本件控訴並に被控訴人の附帯控訴はいずれも理由がないが、控訴人岩手県農地委員会の控訴は理由がある。
よつて民事訴訟法第三百八十四条第三百八十六条第九十六条第八十九条第九十二条第九十三条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 谷本仙一郎 猪瀬一郎 石井義彦)
(目録省略)
原審判決の主文および事実
一、主 文
被告岩手県知事が別記々目の土地につき為した昭和二十二年七月二日を買収時期とする自作農創設特別措置法第三条第一項第一号による買収処分は之を取消す。
被告中野地区農地委員会が別記々目の土地につき為した農地買収計画、並に被告岩手県農地委員会が右買収計画に対し為した承認は孰れも之を取消す。
原告の本件土地の買収除外の指定を求むる訴及原告の訴願棄却の裁決取消を求むる訴は孰れも之を却下す。
訴訟費用は被告等の連帯負担とする。
二、事 実
原告訴訟代理人は主文第三項を除く其の余の各項と同旨の裁判及被告岩手県知事等が本件土地につき自作農創設特別措置法第五条第四号又は第五号による買収除外の指定を為すべしとの裁判を求め、尚予備的請求として主文第一乃至第二項の各行政処分が取消されないときは、被告国に対し、金三十一万八千五百円の賠償を求め、尚又右買収除外の指定を求むる請求を排斥せらるゝ場合は、被告岩手県農地委員会が昭和二十二年七月二十八日附本件土地に付自作農創設特別措置法第五条第五号の買収除外を求めたる原告の訴願を棄却せる裁決は之を取消す旨の裁判を求め、請求の原因として、被告岩手県知事は原告所有の別記々目の土地を不在地主の小作地として昭和二十二年七月二日を買収時期とし、対価金三千七百六十六円にて買収し、その買収令書は原告先代亡清一宛にて原告は同年九月十九日之を受領した。
然し乍ら、本件土地は不在地主の所有する小作地ではない。即ち岩手県知事は昭和二十一年十二月二日岩手県告示第五百三号を以つて盛岡市に、旧盛岡、厨川、本宮、中野の四地区農地委員会を設置し原告の住所である盛岡市大字志家第六地割字紺屋町は旧盛岡地区農地委員会の区域に属し、本件土地所在地の同市大字志家第五地割字神明前は、右告示には記載されてはいないけれ共、それは旧盛岡地区農地委員会の区域に属するものを脱落したもので、このことは盛岡市の地区は永年地割を以つて表示せられ、本件の大字志家は
第一地割字八幡…
第二地割字志家…
第三地割字八幡町…
…
第五地割字神明前…
第六地割字紺屋町…
という風に分たれて居り、前記告示中の中野地区農地委員会の区域中に掲げられている志家は盛岡市大字志家字第二地割の字志家であつて、第五地割字神明前を包含する意味の大字志家でないことは、前記告示中の農地委員会の区域が、字に相当する町名を列記して居り、又、岩手県農地課に於ても、神明前が旧盛岡地区農地委員会の区域に属するものとして扱われ同課から監督官庁たる農林省等に提出された農地委員会調査についての報告書等に於て旧盛岡地区管轄区域(イ)大字の存する地区――(イ)大字新庄、同加賀野等(ロ)大字の存せざる地区――小人町、神明前、紺屋町等、中野地区管轄区域(イ)大字の存する地区――大字東中野、大字東安庭、大字門(ロ)大字の存せざる地区――肴町、志家、八幡町、八幡裏、尾崎前等と掲げあるものゝ様であるのに徴し明らかであるのに、中野地区農地委員会が、「神明前」は前記告示中の中野地区農地委員会の区域の「志家」に含まれるものとし、従つて本件土地が、原告の住所と区域を異にする同農地委員会の区域に所在するものとし、不在地主の小作地として、その買収計画を樹てたのは違法である。
仮に神明前が前記告示中の中野地区農地委員会の区域の志家に含まれるものとしても、右告示の盛岡市を四地区に分ち各地区に農地委員会を設置したのは、行政区域に拠らずに漫然と地区を定め、旧盛岡地区の区域に盛岡市街中、中津川以西の全地域を入れ、その以東の市街地は中の橋以北及以南の二地区に分ち、原告の住所紺屋町を含む中の橋以北を加え以南は中野地区に入れてあり、本件の神明前が地勢上同じく中の橋以北に存在するのに、旧盛岡地区に属させない違法があるのみならず盛岡市の如き小地域で、而も中央部は市街地で周辺に農地の散在する程度の小都市を四区に細分したのは徒らに開放面積を大ならしめんとして地主の利益を不当に侵害する違法なる処分である。加之、被告中野地区農地委員会及各地区農地委員会は本件の如く極めて密接なる地理的関係にある地域に付自作農創設特別措置法第三条第一項第一号括弧内の所謂隣接地区の拡張指定の手続をして尠く共、本件の如き同大字に属する地域を隣接地区として指定し、その上で不在地主の小作地なりや否やを決すべきものに右地域指定の手続をしない為原告住所地と同一字志家の区域而も数町を隔てない神明前所在の土地に付不在地主の土地と認定する様になつた違法がある。
更に本件土地は、約二十年前志家耕地整理組合で住宅地に供する目的で耕地整理を行つた地域で、現在では盛岡市の葺手町、肴町及生姜町、八幡町の繁華な商店街の真裏に位置し西方は住宅街の小人町に相対し周辺は住宅建物及埋立地を以つて囲繞せられ本件田のみが農地として介在するに過ぎず、而もその小作地たるや暫定的に耕作せられているに過ぎないもので、近く住宅街を形成すること必然的なる土地であるのみならず、原告は本件土地を昭和二十二年三月中岩手県食糧営団(主たる事務所盛岡市肴町)に対し、営団附属の精粉、精米工場及倉庫等建設の為農地調整法施行令第二条第一項による許可を条件として金三十七万五千円(一坪二百五十円)にて売買契約を結んだものである。
然らば、本件土地は自作農創設特別措置法第五条四号による指定標準即「既に住宅街の実体をなしているが、極く近い将来確実に住宅街となる如き事情にあつていかに農民の側に立つもその農地について自作農を創設することが非常識であると考えられる」場合に該当し買収の対象たるべき農地に該当するものではなく、仮に然らずとするも同法第五条第五号所定の「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」なるに拘らず被告中野地区農地委員会は買収除外の指定を為さず農地として買収計画を樹て買収を為したのは違法である。右は本件土地に付政府に於て買収したけれ共之を農家に売渡さず保留と決定した事に徴するも明である。而して右買収除外の指定を為すべきや否やは行政庁の自由裁量に属する行為でなく被告岩手県知事等に於て指定の義務がある。
次に本件買収の目的たる土地二筆約千五百坪(買収除外の一反四畝十二歩を包含す)に付原告は昭和二十二年三月中岩手県食糧営団に対し代金三十七万五千円(一坪当り金二百五十円)で売渡すことの申合せを為したるもので、本件土地買収により原告の蒙る損害は買収目的土地千二百七十四坪一坪当り金二百五十円とし合計金三十一万八千五百円を下らぬものである。而も原告の前戸主佐々木清一は昭和二十年九月戦病死し、原告は当十歳の幼児にして祖母、母及姉三名の婦女子とのみの家族で定収なく生計困難の状況にある上、十数万円の財産税を課せられ、紫波郡飯岡村、赤石村に所有する田畑五六、六二〇歩を物納したるも税額金一万八千五百円に相当するに過ぎず、今更に本件土地を不在地主の所有地として買収せられるに於ては原告は悲惨なる状況に陥る外無く、前敍損害は公務員の不法行為に依るものであるから、違法なる本件土地買収処分が取消されないときは被告国に対し、前記金額の賠償を求むるものであると陳述した。(立証省略)
被告訴訟代理人は原告の請求中、被告岩手県知事等に対し、本件土地につき自作農創設特別措置法第五条第四号又は第五号の規定による買収除外の指定を求むる部分に付、訴の却下を、其の余の原告の請求を棄却し、訴訟費用は原告の負担とする旨の裁判を求め、請求の原因に対する答弁として、原告所有の本件土地に対する原告主張の買収令書の交附並に本件土地の売渡保留については原告の主張事実を認める。然し本件土地は原告住所所在の地区農地委員会地区外に在るが故に不在地主の土地として之を買収したものであり何等違法はない。又本件土地は現に農地であるから之を買収したので、尚又農地委員会が自作農創設特別措置法第五条第五号の認定をしていないから本件土地を買収するのは当然である。原告は本件買収によりその主張の様な損害ありとのことを否認する。被告国に於て右買収に付何等違法の点がないから右損害賠償請求に応ずることは出来ないと述べ其の余の原告主張事実を否認した。(立証省略)